この記事では、十日夜(とおかんや)について次の内容をお伝えします。
- 十日夜とは?
- 十五夜や十三夜との違い
- 亥の子について
十日夜(とおかんや)て、あまり聞きなれないと思いますが、この記事を読めば十日夜がどんな日なのか理解できます。
十日夜(とおかんや)とは?

十日夜は何をする日ですか?
十日夜(とおかんや)とは、刈り上げの行事です。その年の収穫が終わったことを意味し「刈り上げ十日」ともいわれます。
2022年は11月3日に行われますが、旧暦10月10日の1か月後の11月10日に実施する地域が多いようです。
十日夜は、群馬、埼玉、山梨、長野県にかけて行われている農村行事のひとつで、稲の収穫を感謝して翌年の豊穣を祈り、その日に山に帰る田の神を送るためにお祝いをします。
十日夜のお祝い行事
*十日夜の行事
- 田の神に餅やぼた餅を供える
- 「わらづ」や「わら鉄砲」で地面を叩く
- かかしあげ
- 大根の年とり
田の神に餅やぼた餅を供える
稲の刈り上げが終わって田の神が山に帰るとされるため、餅やぼた餅を作って神にお供えをします。
「わらづ」や「わら鉄砲」で地面を叩く
子供たちが、稲の茎を束ねた「わらづ」や「わら鉄砲」で歌いながら地面を叩いて神を励まします。
「とおかんや、とおかんや、とおかんやのわらでっぽう、夕めし食ったらぶっ叩け」 (とおかんやの歌)
*実際には、地面を叩くのは農家にとって害獣であるモグラを追い出す目的があるようです。
かかし上げ
かかし上げ(ソメノ年取り)は、長野県や山梨県の一部の地域で行われる行事で、田んぼを見守ってくれたかかしを神として祀ります。
かかしを田から引きあげて庭などに移し、わら笠をかぶせてお供え物をしたり、かかしと一緒にお月見をする地域もあります。
長野県諏訪地方では、この日はかかしの神が天に上がる日とし、安曇野地方では、かかしが田の守りを終えて山の神になる日と言われています。
大根の年とり
十日夜を大根の年とりともいい、この日に餅をつく音や、わら鉄砲の音で大根が太るとされ、大根畑へ行くことや大根を食べることを禁じている地域もあります。
十五夜や十三夜との違いは?

十五夜や十三夜とは何が違うの?
十日夜はお月見がメインではありませんが、十五夜と十三夜と十日夜の月を三月見と言って、三月見が晴れると良いことがあるとされています。
*「三の月」と呼ぶこともあり、十日夜は十五夜、十三夜に続き3回目のお月見という意味があります。
しかし、十日夜は月が6割程度しか見えないため、十五夜や十三夜のようにお月見を楽しというより収穫祭を祝うという意味が強いです。
十五夜
十五夜(中秋の名月)と言えばお月見ですね。
旧暦8月15日にあたる十五夜は中国伝来で貴族の娯楽でしたが、民間に広がってからは実りに感謝する意味が加わり、十三夜や十日夜にお月見をするようになったと言われています。
十五夜は「芋名月」ともいわれ、収穫した芋類や月だんごを供えてすすきなどの秋の七草を飾ります。
十三夜
十三夜は十五夜(中秋の名月)に次いで美しい名月と言われています。
十三夜は旧暦9月13日のお月見のことで、旧暦8月15日の十五夜から約1ヵ月後に巡ってきます。そのため新暦になおして10月13日とせず、その年によって日付が変わります。
十三夜は栗や豆類を供えて名月を楽しんだことから「栗名月」「豆名月」といわれています。
*十五夜か十三夜のどちらか一方しか見れないことを「片月見」と呼び、縁起が悪いとされています。
亥の子の祝いとは?
「亥の子の祝い」とは、西日本で十日夜にあたる収穫を祝う行事で、中国の風習を日本に取り入れたと言われています。
2022年は11月6日(日)に行われます。
「亥の子の祝い」は、現在の11月(旧暦10月)の最初の亥の日に行われますが、亥の日は以下のように毎年日付が変わります。
2021年11月11日(木) |
2022年11月6日(日) |
2023年11月1日(水) |
2024年11月7日(木) |
2025年11月2日(日) |
亥の子の祝いには以下の行事が行われます。
*亥の子の祝いの行事
- わら束や石で地面を叩く
- 亥の子餅を食べる
- こたつ開き、炉開き
わら束や石で地面を叩く
子供たちが稲のわらで作った「亥の子づち」や石に縄をつけた「石亥の子」で地面を叩きながら近所を回り、亥の子餅やお菓子、お小遣いをもらいます。
亥の子餅を食べる
亥の子餅とは、イノシシの子供(亥の子)→ウリ防に見立てたお餅のことで、その年に収穫された7種の粉で作ったお餅を食べる。
また、亥の日に「亥の子餅」を食べると無病息災、家内安全、子孫繁栄を願う意味もあるようです。
こたつ開き、炉開き
「亥の日」に、こたつを出したり、囲炉裏(いろり)に火を入れる地域もあります。
中国の陰陽五行説で、亥は「水」にあたるので「火」に強いとされ、「亥の月や亥の日から火を使い始めると安全」と言われてきました。
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十日夜とは?最後に
最後までお読みいただきありがとうございました。
十日夜とは?十五夜や十三夜との違い、亥の子についてご紹介しました。
古くから伝わる自然に感謝する心を、後の世代にも伝えていくことは大切ですね。
コメント
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